サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書) |
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著者: 下條 信輔 定価: 価格:→¥ 688 | サブリミナル現代社会論 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 『サブリミナル・マインド』(中公新書)、『〈意識〉とは何だろうか』(講談社現代新書)において現代の人間科学に基づく斬新な人間像を提示した著者が、最新の実験的知見をふんだんに盛り込みつつ、知的刺激に満ちた新書本を再び出版した。今回は特に、認知(神経)科学の応用としての現代社会論、といった色彩が強い。 人は悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ。何かを好きだから見る(選ぶ)のではなく、見る(選ぶ)からそれが好きなのだ。人間の感情は、潜在的な情報処理が優先するかたちで発現するのであって、それが自覚(意識)されるのは、常に全てが起った後のことである。あるいは、各種の情動はまったく自覚されることなくサブリミナルなまま私たちの生活を規定しているのであって、私たちは自己意志により各種の物事を決定しているようなつもりになっているが、実はほとんどのことを無自覚な情動に導かれるかたちで行っているのである。 こうした事実について認識しておくことは、音楽・映像文化の著しい発達や広告産業の激化が進展している現代においては、ますます重要になっている。意識されない情動の領域に働きかけることで「快/不快」が生じることがわかっている以上、企業はそれに応じた巧みな広告活動や商品開発を実施するのだし、政治もまた刷り込みめいたイメージ戦略を駆使してくる。情報技術の進化により空前の「自由」を獲得しつつ、私たちは同時に他者の思惑通りに動かされやすくなっているという現状を、しっかりと自覚しておくための教養書としてこの本はある。 私的な感触を述べれば、本書はいわゆる「動物化」の現状を、より科学的に(印象批評的にではなく)説明していくための作品であるという感じがした。脳を心地よく活性化させることこそが現代における最大の価値なのだから、それを恒常的にもたらしてくれる対象こそがリアルであり大事なのであって、それが既存の「人間的」生活とどれだけズレていようと余り問題なはなかろう。問題はむしろ、こうした新しいリアリズムの定着のなか、ではどう生きていけば私たちはより「自由」な存在でありえるのか、ということである。例えば、マクドナルドのイスが客の回転を促進するために座り心地悪く設計されているのなら、ザブトンを持ち込みその環境を意識的に快適化すればよい、という著者のアドバイスは、要するに「賢い動物」として生きよ、という提言であるのだろう。 |
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サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ |
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著者: 下條 信輔 定価: 価格:→¥ 174 | ヒトがいかに無意識に影響されているかを知る ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ヒトの「無意識」について、心理学的・神経科学的見地から迫った本。 我々の意識していることが、いかに「無意識」に影響されているかや、 意識していることの他にたくさんの無意識の脳内処理が存在することなどを、 様々な実験研究を紹介しながら説いていく。 「自分の意識・意志」のもろさを考えさせてくれる斬新な内容。 わかりやすく書かれており、新書系の本に親しんでいる人なら平易に読める。 巻末に多くの文献が載せられており、専門家の要求にも耐えうる。 あまり新書系の本を読まない人には少し難しいか。 難易度はブルーバックス<この本<専門書といったところ。 科学が好きな多くの人に読んで欲しい1冊。 意識とは何か。意識と無意識、認知の顕在的過程と潜在的過程はどのように違い、どこに境界があるのか。 ![]() ![]() ![]() ![]() 「人は自分で思っているほど、自分の心の動きをわかってはいない。」という心理学の「セントラル・ドグマ」を、研究史上の主要な成果や主張などを紐解き、現代的な人間観を問う視点を提示している。 東大での心理学の講義録を再構成したものとのこと。 「自分のことは自分がすべて知っている」のか? ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 人間の意識というものがいかにもろいものか示してくれる書。 自分のことは何でも自分が知っている、という観念が打ち砕かれるだろう。 例えば、感情が原因であり、その結果何らかの行動が起こるというのが通常の考え方である。(悲しいから涙を流すとか) しかし、脳科学的には、感情は、身体の何らかの動作の後から発生するのである。 つまり、行動が原因で感情が結果なのである。 また、人の意志が先にあって後から行為が行われるというのが常識である。 しかし、脳が分離した患者を用いた実験では、行為にあわせて後から脳が理由(意思)を作っていることが判明している。 また、人間の意識に残らないぐらいの映像であっても、人間の判断や行動には大きな影響を与えることがわかっている。 これはサブリミナル効果を考えればわかりやすいだろう。 我々の意識というのは、脳が処理した多量の情報のうち、ごく一部をまわしてもらっているに過ぎない。 これは「自立した個人」という社会制度の前提も揺るがしうるものだ。 脳科学の多様な実験や研究が載っていて、我々の常識を打ち砕いてくれる。 ぜひとも多くの人に読んでいただきたいオススメの本である。 |
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サブリミナル効果の科学―無意識の世界では何が起こっているか |
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著者: なし 定価: 価格:→¥ 1,100 | 怪しく人を惹き付ける現象を科学的に考察する好著 ![]() ![]() ![]() ![]() 「サブリミナル効果」という言葉の響きには怪しい魅力があります。多くの人がこの言葉から抱くイメージは ●テレビの映像には、気づけないほど短時間で映されるメッセージが埋め込まれていて、それを見ると作り手の思い通りの思想・嗜好に変えられてしまう。 ●雑誌の広告には人の購買心を刺激するようなイメージが、見る者にわからないような巧妙な手段で隠されている。 ●人の聴覚ではわからないくらいの音を含んだ音楽を聴くと、気分がリラックスしたり元気が出たりする。 といったものではないでしょうか。 本書は、サブリミナル効果に関係する膨大な心理学研究をレビューした学術書です。主題の怪しさとは裏腹に、内容は学問として耐えうる実証主義の公正さに貫かれています。反面、心理学を学んだことのない方にとっては、かなり読みづらい本でもあります。 多くの人が抱くサブリミナル効果のイメージに比べ、心理学で言うところのサブリミナル効果はより包括的で、ごく簡単には「意識できない刺激が人へ及ぼす影響の総称」と言えるでしょう。本書では、たとえば ●単語が気づかないくらいの速さで表示されても、表示されなかった単語より思い出されやすい。 ●気づかないくらいの速さで表示された図や写真は、そうでないものよりもより好ましいと判断されやすい。 といった、心理学的な意味でのサブリミナル効果が見出された研究が数多く紹介され、心理学では「サブリミナル効果があるか否か」よりも「サブリミナル効果がなぜ起きるのか」に関心が移っていることが示されます。 ただし、重要な点は、多くのサブリミナル効果は実験室という十分に統制された環境で行なわれた研究でしか見出されていない、という事実です。本書では慎重に、こう総括しています。 「サブリミナル効果は、確かに存在する場合があると言えるが、それが、どのような場合に存在するかについては、十分に解明されていない。ただし、サブリミナル刺激が、現実場面で、しかも行動にまで影響を及ぼす可能性は小さそうである。」 本書で示される研究結果を踏まえると、冒頭に示した一般的なイメージのサブリミナル効果を心配したり期待したりしても、あまり益がないように思われます。 サブリミナル効果を学問として研究する際の資料としては元より、微細な刺激によってわずかではあるけれど揺れ動く人の心の不思議を垣間見せてくれる、貴重な本だと思います。 やはりシロウトには難しかった ![]() ![]() ![]() ![]() 門外漢の私には難しい箇所もありましたが、専門用語ばかりでもないので全体的には楽しめました。 特に、科学的に否定されている(少なくとも今のところ)、サブリミナル広告の影響を信じ続ける人間の心理的傾向についての ブランノンとブロックの主張が興味深かった。p.84-85から一部抜粋↓ 1.好ましくない結果は、外的な原因に帰属されやすい。 禁酒しようと心に決めたのに、つい新しいウイスキーを買ってしまった…。そんな時、我々は激しい嫌悪感に苛まれる。 しかし、お酒を買ってしまったのは、自分でコントロールができない外的な力で強制されたからだとかんがえればどうだろう。 サブリミナル広告が存在していたと思うことで、「私は買うまいという強い意志を持っていたのだ。 しかし、サブリミナル広告が私の無意識に訴えかけてきて、私は広告業界の罠にまんまとかかってしまった」と正当化することが出来るのである。 2.長い間信じてきたことは、それに対抗する証拠があっても、そのまま信じ続けられる傾向がある。 いったん「サブリミナル効果がある」と信じてしまうと、その後、「効果はない」という証拠が見せられても、初めの信念を覆すのは難しい。 逆に、信念を肯定する「サブリミナル効果がある」という証拠は、受け入れられやすく、記憶にも長く残りやすい。 コカコーラ実験が、今でも「真実」のように語られるのには、このようなからくりがある。 3.人間には、本来、意味を持たないものにも、何かしらの意味を求めようとする傾向がある。 4.ある信念や態度がどのように形成されたのかということに対して、われわれは無頓着である。 あなたがサブリミナル効果を信じているとしよう。しかし、そう信じるきっかけとなったテレビや本の内容については、案外覚えてないものである。 例えば、それがどのくらい信頼の置けるものだったかということは、容易に忘れ去られる。 5.何かが存在したら、それは効果をもつからに違いないと信じてしまう傾向がある。 「サブリミナル広告が存在する」ということは、「サブリミナル効果がある」ということと同義ではない。 この分野のレビューとしてはかなり秀逸、でもたぶんシロウトには読解困難 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() サブリミナル効果というだけで、本を読まずに批判する書評がでてしまうほど、この分野をめぐる偏見は大きい。しかし、意識できないような情報提示が行動や認知(とくに後者)に影響を与えることがあるのは、もはや、心理学の入門コースでも常識的なことであり、勉強せずに批判するのはまったくいただけないことだ。ただし、この本は、やはり専門家向けにかかれたレビューであり、読みこなすには、ある程度の予備知識を必要とするのも事実である。プライミング効果といわれてぜんぜんピンとこない人は、とりあえず、下條著「サブリミナル・マインド」中公新書を読んでからトライすると頭に入りやすいと思う。 |
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